設立趣旨

 

 機能紙研究会は、昭和37年9月に第1回化学繊維紙技術講演会を開催したことがきっかけとなり、翌昭和38年10月四国通商産業局(現、四国経済産業局)、大阪工業技術試験所四国支所(現、独立行政法人産業技術総合研究所四国センター)、愛媛県製紙試験場が中心となって、化繊紙研究会が発足した。

 合成繊維の黎明期に発足した当研究会は、まず、官主導で化学繊維の抄紙技術の研究開発、広く合成繊維のみならず、金属繊維・無機繊維等の新素材の抄紙技術及びその装置の開発、合成高分子分散剤、各種加工技術等の研究成果を発表し技術紹介する場となった。

この間、昭和57年に化繊紙研究会から機能紙研究会へと名称を改め、産学官の合議で運営し、それぞれの時代のニーズを的確に把握し、時流のテーマを設定し研究発表講演会を実施してきた。 

 本会の活動から生まれた機能紙という用語は、現在、紙産業でも広く使われ、小ロット・高付加価値・高機能・高性能の紙の一分野として定着し、平成10年3月からJIS紙パルプ用語として取り上げられている。

 現在では、小ロットを旨とする中小製紙会社ばかりでなく、大手製紙企業でもこの分野の研究に着手している。さらに、製紙機械メーカー、大手化合繊メーカー、製紙用薬品メーカー、不織布メーカー等の積極的な参画を得ており、製紙産業を基盤とした製紙機械産業、繊維産業、化学工業等の接点を拡大し、各種境界領域産業のビジネスチャンスを創成するとともに、学問的にも新素材の製紙科学という新規分野の研究目標ともなってきている。

 会員数が300名前後で推移している現在、組織・運営上、個人の集まりである任意団体では不都合を生じ、法人格の取得が急務となってきた。また、学官の積極的な参画を期待する場合、特定非営利活動法人格の取得が不可欠な状況となっている。

 このたび、機能紙の製造技術及びその加工技術の研究開発に寄与するための調査研究事業、およびそれらの技術の普及向上を図るための教育啓発に関する事業等を行い、もって社会全体の利益の増進に寄与することを目的として、特定非営利活動法人を設立するものである。

具体的事業としては、従来どおり機能紙に関する研究発表・講演会の開催はもとより、展示会、見学会および交流会を実施するとともに、会誌ならびに学術図書を発刊行し、社会のニーズに合った事業を継続する。また、機能紙に関する情報収集および提供を行い、他団体との交流・連携を密にして、機能紙の普及啓蒙活動により社会全体の利益増進に積極的に寄与することとする。

これらの活動により、産業界の発展はもとより、社会基盤の整備・国民生活の向上につながり、日本国内にとどまらず、広く人類にとって利益の増進が得られるものである。

ここに、特定非営利活動法人機能紙研究会の設立を発起する。

     平成14年11月7日

                                     特定非営利活動法人機能紙研究会

                                       設立代表者     稲  垣   寛